はじめに
MCやキャスターがその商品を紹介したり、使用者が感想を話すなど、通販コマーシャルはさまざまな形で放送され、視聴者の印象に残るものも多くなっています。
通販コマーシャルは広義でさまざまな意味を持っていますが、ここでは、主にテレビの番組内でCMとして数十秒〜数分内で放映される広告のことを指しています。
おなじみのものとしては、企業の社長と女性が「安くして~」「やす~い」という独特のやり取りを見せる通販コマーシャルがありますが、他にもCM中に食品を食べてそのレビューを紹介して、電話などから購入を促していくスタイルのもの、さらに、CM中に演者がその製品などを使用して、実演。特別なオファーなどを紹介して購入を促すものなどがあります。
通販コマーシャルの魅力
通販コマーシャルが持つユニークな特徴
ブランド認知的なコマーシャルと違い、商品の利点や使用方法を直接的かつ具体的に視聴者に示すことができるのが通販コマーシャルのメリットです。直接的なアピールは視聴者に強い印象を残します。
また、実演、実食、デモンストレーションなどにより、商品の即時性や実用性を強調することができます。さらに、電話などによる購入方法、連絡先情報、限定オファーなど、視聴者が行動を起こすための明確な指示を送ることができるというよりクリアなCTA(Call to Action)が通販コマーシャルの強みといえます。
なぜ上記が視聴者の注意を引く要素なのか?
◆実演
製品が実際の環境でどのように機能するかを視覚的に示すことができるのが「実演」です。「持ち運びが楽」「アウトドアでも使える」など使用感を伝えるだけでなく、具体的に使用の方法も目で見ることでき、製品の効果を実感するまでの時間なども伝えられます。
また、モデルやイメージではなく、一般の方が実演することで、効果や使用感のイメージがしやすくなります。例えば料理道具は料理のプロではなく、一般の方が使うことで「普通の人でもこんなに使いやすいんだ」などと視聴者が感じることもできます。
◆限定オファー
購入の緊急性を高めるためのタイムリミット(期間限定)や数量限定の特典を紹介することで、消費者の購買意欲を高めることができます。
また、リアルタイム(ライブ)であれば、「現在これくらいの注文が入っています」などの形で、今これだけの人気を集めているということを表現することも可能です。
◆直接購入
番組内での即時購入を促すことができるのも大きなポイントです。電話番号やウェブサイトのURLの提示することが可能で、購入プロセスの簡略化と迅速化ができ、視聴者の購入障壁を減少することができます。
通販コマーシャルの成功への鍵:ストーリーテリングの力
通販コマーシャルは上記のように、視聴者の注意を引き、購入を促すという特徴を持っていますが、商品を示し、その機能を実演するだけで引き込むことができるというわけではありません。
消費者が製品に感情的なつながりを感じ、行動を起こすために必要不可欠なのは「ストーリーテリング」です。ここでは、具体的に2つの種類の「ストーリーテリング」が通販コマーシャルの成功にどのように寄与しているかを掘り下げていきます。
商品の物語と視聴者の感情への訴求
◆感情的なコネクション
商品にはそれぞれ物語があり、その物語を通じて消費者の感情、記憶、欲望に訴えかけることができます。例えば、高級チョコレートのブランドの歴史を追ったり、そのチョコレートを過去の偉人が認めたなどの商品が持つストーリーを紹介することで、視聴者は感情面で商品にグッと近づく傾向があります。
◆顧客のニーズとの共感
商品の物語が解決する問題や、改善する生活の側面を伝えることで、視聴者の個人的なニーズや願望と共鳴させることができます。例えば、ある掃除機が、どのように家庭の家事の負担を軽減しているのかを紹介し、それによって子供と接する時間が増えた、などの具体例が効果を生みます。
◆ブランドの価値の伝達
物語を通じてブランドの使命、価値、または社会的責任などの核となる理念を表現するのも有効です。例えば、エコフレンドリーな洗剤ブランドが、環境保護への取り組みに繋がり、この製品が自然に優しいということを印象付けます。
実際の成功事例に基づくストーリーテリングの重要性
◆事例研究
具体的な研究結果、統計、実験結果などをその製品の効果を具体的に証明していくことも重要です。例えば、特定のスキンケア製品のコマーシャルが、実際のユーザーの肌の状態を「前後」の写真で示すなどがあげられます。
◆消費者の証言
実際の顧客が商品を使用して得られた効能効果や、その商品が使用者の生活にどのように影響を与えたかについての実話を届けることも重要です。
例えば、健康食品のブランドが、栄養補助食品を継続摂取することで前向きな生活を手に入れた人のストーリーをフィーチャーしたり、具体的なレビューやコメント、その後の生活などをインタビューすることでストレートに伝えることができます。
◆他の商品との差別化
他の商品との比較をしやすいという特徴もあります。必要であれば実際に自社従来品と共に実演をすることで、視聴者にわかりやすく有用性を伝えられます。例えば、ある洗浄液ブランドが、自社新商品の洗浄液と自社従来品を一緒に実演することで、見た目でその効果をわかりやすく伝えることが可能です。
通販コマーシャルの成功への鍵:心理的トリガー: 購買行動を促す
通販のコマーシャルの中には独特なものが多い印象があります。数度見ただけで記憶に刻まれるものも少なくありません。
こうした通販コマーシャルは、消費者の購買行動を促すために、様々な心理的な働きかけをしています。こうした働きかけは、人々の意思決定プロセスに影響を与え、商品やサービスへの関心や購入意欲を高めるのに重要です。心理的トリガーにより購買行動を促すことは成功への大事な鍵になります。
通販コマーシャルで使用される心理的要因
大きく分けて下記3つの原則が利用できます。
◆再帰性の原則
同じメッセージを繰り返し聞くことで、消費者はその情報を真実として受け入れやすくなるといわれます。独特なキャッチフレーズや音楽、ビジュアルを繰り返すことが大事という原則。
◆権威の原則
専門家や有名人が登場することで、商品の信頼性や価値が高まると感じてもらえるという原則。
◆好意の原則
親しみやすいナレーターやストーリーが消費者の共感を呼び、ブランドへの好意を持ってもらえるという原則。
まとめ: 通販コマーシャルの力を最大限に引き出す
通販コマーシャルには、実演することで商品の魅力がより実感を持って伝わるという特徴や、ストーリーテリングによってその商品への価値観や興味が高まるということ、さらに心理的トリガーを意識することで、視聴者の注意を引き、購買行動を促すことができるという特徴があります。
これらの要素を効果的に組み合わせることで、ブランドや商品の訴求力を最大限に高めることが可能です。重要なのは、ターゲットのニーズと感情に寄り添い、それに基づいてコマーシャルを構築すること。また、常に結果を測定し、戦略を調整することで、通販コマーシャルの効果を継続的に改善することも必要です。直接的に訴えかけることができる通販コマーシャルは、方法論を的確にとらえることで、その効果は大きく変わってきます。
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