近年、PC、スマホ、タブレットなどデバイスの普及により、インターネット広告をはじめ、新しいタイプの広告が増え、広告媒体も多様化しています。そんな中、従来の広告商品には価値がなくなってしまったのでしょうか。
たとえば、日本民間放送連盟(以降、民放連)に加盟するテレビ局では、CMを放送する前に民放連が定める放送基準(https://www.j-ba.or.jp/category/broadcasting/jba101032)や自社の番組基準に照らして、広告の依頼主が反社会的な組織と関係がないかや宣伝の内容に視聴者を欺くような問題がないかなど、放送局の専門家たちが「考査」という審査を実施し、受理したもののみを放送する仕組みになっています。
このため、テレビで流れるCMは一定の倫理的・法的基準をクリアしたものしかなくなり、視聴者はCMで紹介されるブランド・商品・サービスに対して信頼感が増し、また、CM出稿する側にとっては、他社のCMにおかしいものがあるとかという心配をせず、自社ブランド・商品・サービスに対するイメージが損なわれず、信頼感が得られるという安心感が得られるのです。
本記事では、テレビ広告の種類と特徴そして、メリットや重要性について解説していきます。
テレビ広告の種類
主に2つの種類
テレビCMには大きく分けて、「タイムCM」と「スポットCM」があります。
次の章ではタイムCMと、スポットCMの違いとメリットを解説していきます。
タイムCM
タイムCMの定義
タイムCMは、特定の番組を提供する企業のコマーシャル(Commercial Message、略してCM)です。一般的には15秒から15秒単位(15秒、30秒、60秒…、etc.)でCM枠の購入とCMの放送が可能です。
タイムCMの特徴
タイムCMの一番の特徴は、CM提供社の企業名やロゴが番組内に番組提供クレジットとして表示されることです。番組との関係性が強くなることでCM想起の効果が高まり、ブランディングやスポンサーの企業イメージの向上に効果が見込めます。
また、多くの場合、番組と連動したCMの製作も可能なため、ブランド・商品・サービスの訴求力が高められるとともに、一定期間にわたり継続的に広告が流れることで広告商品の認知向上が見込めるようになります。
スポンサーは、番組とのつながりを一層強固にし、ブランディング効果をさらに高める目的で特定の番組の中に流れるコマーシャル枠を独占して買い切り「一社提供番組」としてCMを流すことも可能です。
尚、CMの放送エリアは番組が放送される地域に連動するため、番組が全国放送の場合、CMも全国に流れ、地域限定の場合は当該地域限定のCM放送となります。衛星放送の場合、放送地域は全国のため、CMも自ずから全国放送となります。
タイムCMのメリット
タイムCMの基本的な契約期間は、一般的に6ヵ月からであり(番組によっては単発契約もある)、長期的なブランディング効果が期待できます。
さらに、提供社は番組と連動したブランド・商品・サービスの訴求も可能なため、視聴者の記憶に残りやすく、また、セグメント化された番組のファンにアプローチできるため、訴求効率が上がる広告手段と言われています。
スポットCM
スポットCMの定義
スポットCMは、一般的に放送局側が複数番組や枠を選定したメニューの中からスポンサーがメニューを選び出稿するCMの形式です。
スポットCMの特徴
広告主は、放送局が選んだ多様な番組内や枠の中でCMを流すことが可能で、6カ月間などのしばりもなく短期間での出稿が可能です。
スポットCMは放送地域がタイムとも異なるのが特徴です。地上波放送の放送地域に関わらず、ローカル放送局のカバーエリアのみで放送されます。BSなどの衛星放送では放送エリアが全国にまたがるため、スポットCMも全国放送となります。
CMの長さは、放送局によって多少ルールが異なりますが、タイムCMと同様に15秒、30秒、60秒、120秒、300秒など、様々な長さのCMを流すことができます。
スポットCMのメリット
スポットCMは、広告を流す番組の指定が出来ないものの、放送局が作ったメニューの中で曜日や時間帯をまたがってCMが流せるため、幅広い視聴者へのリーチが可能です。
タイムCMのように提供期間の縛りがなく、短期間での出稿や予算に合わせた出稿が可能なため、期間限定のキャンペーンや新商品の発売など、短期間で集中的に宣伝を行いたい場合に有効な広告形態となります。
また、地上波では放送エリアが地域に限定されるため、全国区にCMを流す必要のない地域密着型の企業や、地域限定で力を入れたい大企業の広報戦略に有効です。さらにBSなどの衛星放送では安価で全国に情報を発信したい企業に使い勝手の良いCMです。
テレビショッピング
テレビショッピングの定義
テレビショッピングやテレビ通販は、視聴者に商品又は役務などを紹介し購入を促す内容の番組やCMのことです。番組内では商品の魅力を実演や解説とともに伝え、視聴者の購入を促すため、即効性のある訴求ができます。
テレビショッピングの特徴
テレビショッピングは、視聴者が直接商品の特徴や利点を確認し購入できる独特の形式です。商品の機能や特徴を紹介し、実際に使用する様子を見せることで、視聴者に商品の魅力を直感的に理解させることが可能です。
さらに、電話やインターネットでの購入方法を分かりやすく説明することで、購入への障壁を低減できます。また、期間限定や数量限定といった他者と同じものは要らないという気持ちを喚起するスノッブ効果を効かせた訴求を行うことができます。
テレビショッピングのメリット
テレビショッピングの特徴的な販売形式は、商品の魅力を実際の使い方や効果を見せながら紹介することで、視聴者の購買意欲を高め、直接的な売上げ増加につなげられる可能性があります。さらに、商品の機能や特徴を実演しながら伝えることができるため、視聴者に商品の魅力を直接伝えることができます。
また、放送タイミングに連動して商品に関する問い合わせや、実際の購買・購入金額などが発生するため、スポンサー自身が放送の効果を直接的に測定することができます。
SAS(スマート アド セールス)
SASとは
従来の放送局や広告会社に問い合わせをしてCM枠を購入する方法に加え、「CM枠を1本単位」でWeb上にて購入できる新たなテレビCMの購入サービスが2020年2月にスタートしました。
SASの特徴
SASの最大の特徴は、一本単位のピンポイントで番組を指定してCMを流すことができることと、付帯サービスとして(データ利用が有料の場合有)、様々なデータを活用して、ターゲットとなる視聴者層の多い放送枠を炙り出すことができるころにあります。
CM1本からの放送枠の指定つきでCMが流せるため、単価は高めに設定されることが多いのですが、時折、お買い得な値段設定もあるのでチェックしてみてはどうでしょうか。
尚、現在、SASはすべてのテレビ局が対応しているわけではありません。
SASのメリット
放映日時、番組、本数、金額などを細かく選択できるので、自社のプロモーションなどのターゲットに対して、ピンポイントでCM放送ができます。
一本単位からのCM出稿が可能なため、スポンサーの広報戦略の選択肢が広がり、また、これまでテレビ広告を選択肢に入れにくかった企業でも“お試し”で出稿することが可能です。
まとめ
テレビCMは、基準をクリアした信頼性のある企業の広告だけが放送されているという特徴があります。
そして、そのテレビ広告には、特定の番組を提供する企業が放送する「タイムCM」と、放送局が設定した枠内で広告を出稿する「スポットCM」の2種類があります。
また、商品又は役務などを視聴者に効率的に販売や訴求ができるテレビショッピングという広告形態もあります。
近年では、SAS(スマートアドセールス)と呼ばれるテレビ放送のCM枠をインターネットで購入できるサービスも増えました。
尚、テレビCMは放送終了後に放送が確実に行われたことを証明する「放送確認書」が届きます。このようにテレビは、アドフラウドやそのほかインターネットで問題となっているビューアビリティなどの問題が生じない長年信頼されてきた広告媒体です。
ここまで見てきたようにテレビ広告にも様々な特徴やメリットがありますので、各広告の形態や特徴、そして価格設定を理解し、戦略的な広告出稿に活用いただければと思います。
なお、Sales Guideでは、番組の企画書をはじめ、通販やイベントの企画書や事例、そして初めてCM出稿を考えている方のためのガイドブックも掲載しています。広告出稿をお考えの方や、テレビ広告で効果が出ないなど課題をお持ちの企業様はぜひお気軽にご相談ください。