はじめに
日本に民間放送(民放)のテレビが開局したのは1953年(昭和28年)。以来70年あまり、数多くのテレビCMが放送の歴史ともに送り出されてきました。こうしたテレビCMのこれまでの流れや重要性を抑えながら、効果的なプロモーションのあり方を探ります。
時代は大きく変貌しながらもテレビ広告が今も強い影響力を持つ理由。テレビ広告が持つメリットとデメリット。こうしたことを理解することで、テレビ広告の具体的な効果を知り、一方で、その限界も見据えることができます。
広告戦略に効果的に活かすためにはこうした知識やスキルをとらえることは必須となります。
テレビ広告の基本
テレビ広告とは?
テレビ広告とは、テレビ放送を使って番組の中、または番組と番組の間などにビジュアルと音声で展開する広告のことです。日本では1953年、民放の開局とともにスタートし、1960年代の高度成長期、テレビ受像機の一般家庭への普及とともにそのバリューを高め、1970年代以降はテレビ広告から流行語や社会現象も生まれるほどとなりました。
テレビ広告にはいくつかの種類があります。「タイムCM」という個別の番組枠の中で放送するCM、「スポットCM」という番組の指定はなく、様々な時間帯で放送されるCMなどがあり、それぞれの特徴やメリットがあります。
メリットとデメリット
メリット
まず、テレビCMのメリットはなんといっても、多くの人に見てもらえること。年代、性別を問わず広い層にアピールすることができます。元々その商品やサービスに興味がなかった人にもテレビを通して目や耳に届けられるため、新規顧客獲得に有効です。
また、繰り返し放送することで多くの人に商品やサービス、企業イメージなどが記憶に残りやすくなりますし、特定のフレーズやキャラクター、音楽を用いることで印象をさらに強化できます。
さらに、印象に残るというだけでなく、商品やサービスの特徴をビジュアル、文字、音声などで明確に伝えることができ、短時間でより多くの情報を伝えることができるので、ストレートに購買意欲を高める効果があります。「買ってください」ではなく「買うとこんなメリットがありますよ」という有効な情報としてのCMが視聴者に届きやすいという特徴をテレビCMは持っています。
デメリット
デジタル広告や新聞・雑誌と比べて、テレビCMはコストが高くなる傾向があるというのはひとつのデメリットです。また、各テレビ局の審査基準を満たすものを作らくなくてはならないというハードルもあります。
しかし、そうしたハードルがあるということは、テレビCMで放送される段階で、信頼性の高い企業、商品というイメージにも繋がり、必ずしもデメリットとは言い切れない側面もあります。
一方、テレビCMの場合、ターゲティングが広くなってしまうため、ピンポイントを狙っていくような形にはなりづらいという面もあります。また、効果の測定がしにくいというのもテレビCMの特徴です。GRP(延べ視聴率)では、実際に視聴者がCMを見ているかどうかまでわからないので、効果は確認しづらいものになります。
ただ、現在ではWeb施策でデメリットを解消することが可能で、デジタル広告と連携することで、多くのデメリットは解消することができます。とくに「ABテスト」やWebサイトへの誘導などは有効だといえます。
費用対効果の測定
GRP(Gross Rating Point)とは?
GRP = 一定期間のCM世帯視聴率合計です。通常はスポットCMを発注する際に使用しますが、CM放送後、費用対効果を測定する意味でも利用できます。
計算式としては
番組平均世帯視聴率 or 個人全体視聴率×CM本数(例:視聴率5%、CM10本 ならば GRPは50)
となります。
GRPが高ければ、多くの人がCM見たということになります。ただし、GRP単独では費用対効果測定は、不十分です。
視聴質とは?
視聴質は、番組やCM放送の際に、ユーザーがテレビの前に滞在しているのか、またテレビに顔を向けているか、人体認識技術で目の動き等を計測するものです。ただテレビの前にいるだけでなく、誰が、どのくらい画面を注視していたかまで計測が可能です。
GAPと視聴質の融合
GRPによって CM露出量を確認し、視聴質によって実際の視聴度、目を向けられているかを測り、その両面を掛け合わせることで、効果測定は向上します。
まとめ
テレビCMのメリットである広範な層へのリーチ、印象強化という側面は今も圧倒的な力を持ち続けています。一方で、ターゲティングの精度が低くなってしまう面や、費用対効果がわかりづらいという側面は、Web広告との連動や新たな測定法などのアプローチを加えることで十分カバーできるようになってきました。
こうした新しいアプローチを融合させるなど、様々な方法論を抑えたうえで、テレビCM制作に進んでいくことはますます重要になっています。
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