【解説】テレビ視聴率が決める番組の運命 – 視聴率とは?その重要性とは?

視聴率

はじめに

話題のドラマやバラエティ、注目のスポーツ中継などがあるたびに語られる「視聴率」。そのテレビ番組をどれくらいの人が目にしたかを測る指標、というのはわかっていても、その数値が持つ意味や、テレビ番組制作に及ぼす影響ははっきりとはわからないもの。

時に番組の命運を握っていることも少なくない視聴率。その視聴率の計測方法や新たな動きなど、実はわからないことも多い視聴率の世界を探ります。

テレビ視聴率とは

視聴率の定義

視聴率は、一つのテレビ番組がどれだけ見られたかを表す指標です。地域別(放送エリア別)に調査が行われ、視聴された割合を%で表します。現在、主にメディアで報じられる「視聴率」はビデオリサーチ社による視聴率データとなっています。一言で「視聴率」といっても、大きく分けて【世帯視聴率】と【個人視聴率】があります。

◆【世帯視聴率】
【世帯視聴率】は日本国内のテレビ保有世帯のうち、何%がテレビを見ていたかを表す数値。視聴率100%は、日本の全テレビ保有世帯がテレビを見ている状態ということになります。

かつて、テレビはお茶の間の中心にあって、そこには家族が揃っていたことから、テレビが点いている世帯を計ればどれだけの人が見たか、ということを表すことができたため、長年親しまれてきました。

「視聴率〇%」と新聞やネットニュースなどで発表される場合、多くはこの【世帯視聴率】を用いて報じられてきましたが、最近では【個人視聴率】で語られる機会も増えています。

◆【個人視聴率】
【個人視聴率】は、日本の(4歳以上の)全人口の何割が見ていたかを表す数値です。特定の年齢層や性別に分類して計測される指標であり、 世帯単位ではなく、各個人がどの番組を視聴したかを調査しています。

具体的な性別や年代の人がどれだけ見たかを知ることができます。特定の番組がどの層にどれだけ見られたかを表す数値で、番組制作者にとっては番組の支持層を測る指標となり、広告主にとってはCMを流すテレビ局や番組を決める大事な指標となっています。

◆【世帯視聴率】と【個人視聴率】の違い
【個人視聴率】は特定の年齢層や性別を対象にした視聴率で、【世帯視聴率】は全てのテレビ所有世帯を対象にした視聴率になります。【個人視聴率】は全人口の何割が見たかを表す評価指標であり、【世帯視聴率】はどれだけのお茶の間で見られたかを表す指標ということになります。

◆視聴率の算出方法
視聴率調査会社が調査対象世帯を選び、対象世帯に視聴率調査機器を設置し、テレビ視聴状況を収集。日本で最も使われているビデオリサーチ社の視聴率では、国勢調査を元に日本の人口統計比率に合致するように日本全国の1万世帯あまりに、視聴状況を計測する機器を設置し、情報を収集しています。また、データのバイアスがかからないように、対象世帯は無作為で選ばれています。この収集したデータをもとに、番組やCMごとの視聴数を推定しています。

視聴率が番組運営に与える影響

スポンサーとの関係

民間放送の広告収入と視聴率には大きな関係があって、一般に、数多くの視聴者に見てもらえることが広告を広く知らしめることになるため、高い視聴率であれば、広告料も高くなるといえます。(ただし、放送時間帯、購買ターゲットなどにより一様ではありません)

スポンサーは、自社商品や企業メッセージを浸透させるためには高い視聴率を求めることになりますが、その商品のターゲット層に合った視聴者がどれほど見ているか、が大きな意味を持ちます。また、単純にその番組が「点いている」というだけではなく、実際に注視しているかどうかも含めシビアな数値が求められるようになっています。

番組内容の変更

◆視聴率向上を目指した企画の導入やキャスティング
データ放送を使ってクイズ番組に参加できたり、歌番組で歌唱する歌を投票で決めたりと視聴者参加型のスタイルを組み込んだり、SNSと連動してそのコメントを画面表示に出すなど、様々な試みが行われるようになっています。また、その時の旬のタレント、俳優の起用はもちろん、ニュース、ワイドショーなどで話題の人物(文化人、スポーツ選手など)をいち早く起用するなど、スピード感を持ったキャスティングが求められています。

一般的に視聴率に影響する要因といわれるもの

コンテンツの魅力

オリジナリティの高い企画、視聴者の共感を呼ぶストーリー。斬新さも求められつつ、ファミリーが安心して見られる、などの様々な要素が求められます。

タレント・俳優の影響力

人気タレントの起用は大きな要素になります。ドラマであれば、俳優の演技力や魅力はポイントであり、SNSなどで反響を呼ぶポイントにもなります。

プロモーション活動

SNSを活用した情報発信は必須となっています。また、話題を集めるためのイベント・キャンペーンもドラマなどを中心に行われています。

視聴率の問題点

視聴率調査の課題

◆デジタル時代の視聴状況への対応
スマートフォンやタブレットなどのデバイスでのインターネット配信視聴が増える中、従来の視聴率調査方法では正確な視聴状況を把握できない問題があるといわれています。オンデマンド配信やインターネットテレビの普及に伴い、視聴状況の多様化が進み、「テレビの前でオンタイムに見る」だけが視聴のスタイルとしてはない、という傾向は強まっています。また、テレビが「点いている」状況でも実際にはテレビ画面ではなく、スマホを見ているなど、現代の視聴方法から、番組への注視度は測りづらいという面もあり、視聴状況までは測れない、という面もあります。

視聴率至上主義の弊害

◆番組の平板化、安定志向
視聴率の数字を追求するあまり、コアな内容に踏み込むことを躊躇し、安定した一般的な内容でまとめてしまう安全志向の番組が増えることも考えられます。また、同様に挑戦的な新しいアイデアの企画が採用されにくくなる傾向も考えられます。一方で、視聴者を引き付けたい思いから、実際の内容より大げさな煽り表現が増えてしまうこともあると思われます。

ネット配信との競合

◆インターネット視聴と視聴率の関係
動画サイトの視聴や配信による番組視聴など、「テレビを見る」という時間は減る傾向にあるといわれています。テレビ局や広告主が、視聴スタイルの変化に対処する必要があるのは間違いありません。そんな中、テレビ業界が収益源や視聴者獲得のために、新たなビジネスモデルやコンテンツ戦略を検討する動きも生まれています。

視聴率の今後の展望

テレビ視聴率の将来性

従来のテレビ視聴率だけに頼らない新しい評価指標を模索する動きが生まれています。ソーシャルメディアの反応や視聴者満足度など、従来の視聴率以外の評価指標を重視することで今の傾向をキャッチしようという動きです。

デジタル時代の視聴率

◆オンデマンド配信と視聴率の関係
最近では、従来の視聴率では高い数値を記録しないコンテンツでも、配信で多くの反響を得るという例も生まれています。そこで、テレビでの視聴(リアルタイムと録画視聴)と番組の配信の視聴数を総合的に評価するトータル視聴率という考え方が広がってきています。従来の形に限らず、インターネット視聴者のデータ活用や、トータル視聴率などの形で、より正確で幅広い視聴状況を把握する取り組みが進んでいます。

視聴率以外の評価指標

◆ソーシャルメディアでの指標
ソーシャルメディア上での反応や拡散力を評価指標として活用することで、番組の影響力や評判を測ることができます。InstagramやX(旧Twitter)でのポスト数やシェア数、いいね数などの指標を使って、番組がどれだけ注目されているかを測ることもできます。

また、視聴者の満足度やリピート視聴率を測ることで、番組が視聴者に受け入れられているかを把握する動きもあります。アンケートやフォーカスグループなどを通じて、視聴者の意見や評価を直接聞く取り組みも行われていて、視聴者満足度やリピート視聴率が高い番組は、長期的な視聴者獲得や口コミによる拡散が期待できるため、視聴率だけでない評価指標として重要視されています。

まとめ

大きなスポーツ大会や注目のドラマなど、その都度メディアで話題となる視聴率。どれほど多くの人が今何を欲しているのかを知ることができる指標で、同時に、広告スポンサーにとっては、自社製品やメッセージをどれだけ多くの人に到達させることができるかを測ることができる大事な指標です。

一方で、従来の【世帯視聴率】では測れない、個々の視聴動向が重要視されるようになり、【個人視聴率】に注目が集まるようになるなど、視聴率をめぐる環境も変化しています。

また、リアルタイムで視聴するだけでなく、番組の視聴環境も年々変化が生まれ、指標としてはさらに細かな分析や、調査も求められるようになっているのは間違いありません。魅力あるコンテンツを生み出していくという基本は変わらないものの、テレビ界が視聴率と向き合う姿勢は変化の過程にあり、様々な指標に対するアンテナも重要になっています。

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